紅白歌合戦や虫エピソードについて。
今年の大晦日、「紅白歌合戦」の出場者にモーニング娘。は選ばれなかった。昨年まで10年連続で出演していたが、今年は出ない。昨年は選ばれる選ばれないでかなり盛り上がり、「紅白歌合戦」もちゃんと見た。実家に住んでいた頃以来、20年以上ぶりのことだった。今年はなんだか「紅白歌合戦」のことなどはすっかり忘れていて、火曜日に名古屋に向かう新幹線の中で、電光掲示板みたいなやつに映るニュースで、出場者が発表されたことを知った。すかさず携帯電話のi-modeで出場者リストを確認したのだが、その中にモーニング娘。の名前は無かった。残念ではあるが、納得しているようなところもあった。
実家に住んでいた頃といえば、大晦日には家族と年越し料理を囲みながら、「レコード大賞」と「紅白歌合戦」を見て過ごすというのがお決まりになっていた。その一年を代表するヒット曲や目新しい新人歌手や新たにブレイクしたアーティストなどの他、よく曲は知らないのだがなぜだか毎年出ている演歌などのベテランの人たちというのも多数出演していた。当時の感覚でいくなら、Perfumeだとか羞恥心だとか「崖の上のポニョ」だとかの選出は至極真っ当であり、仮にモーニング娘。が出演していたとするならば、どちらかといえば前述の曲はよく知らないのだが毎年出ている大御所に近い印象を持っていたことであろう。
しかし、当のメンバー達にとってはやはり相当ショックだったようだ。今週の「ヤングタウン土曜日」を聴いて、そう思った。番組冒頭から「紅白歌合戦」の話題を振ってくる明石家さんまに対し、高橋愛と道重さゆみは「ショックだった」「悔しい」「大晦日はテレビを見たくない」などと話していた。スタッフから重大な話があるということで集められ、そこで発表があったようだ。メンバーの中には何も言えなくなるほどショックを受けるものもいたとか、帰りの車の中も空気がとても重かったという話もしていた。オレが名古屋のCBC前で「今夜もうさちゃんピース」を聴いたりしているとき、モーニング娘。のメンバーはそんな感じだったというわけだ。
高橋愛も言っていたが、「紅白歌合戦」には出るのが当たり前という意識があり、それだけにショックも大きかったのだろう。さんまは番組中、何度も「紅白歌合戦」の話題を出し、その度に「何、落ち込んでんねん」「まだこれからやないか」などと言っていた。わざとらしくその話題を避けるよりは何度も話題に出して前向きな方向に変えようというのは、さんまなりの優しさのように思えた。
それにしても改めて10年間も出場し続けたというのはそれ自体すごいことであり、「ザ・ベストテン」の頃から何らかの形で日本の流行歌にふれてきたオレの記憶をたどってみても、こんなに長い間に渡ってオリコンの上位に新曲を送り込み続けているアイドル・グループというのはどこにもいない。だいたいはそのときの旬としてブレイクはするものの、せいぜい2,3年で時代に消費されつくし、その後は徐々にフェイド・アウトというのがお決まりのパターンだろう。ピンク・レディーもキャンディーズもおニャン子クラブもせいぜい数年間の活動期間しかなかった。モーニング娘。もデビュー当初は時代のあだ花的なところがあり、それから小さな子供から宴会のサラリーマンからOLまでをも巻き込んだ社会現象的な国民的アイドルになった。この頃にテレビでモーニング娘。を見て憧れていたのが現在のメンバーなのだろう。旬が過ぎた後のフェイド・アウトというのはこれはやはり避けられないところなのだが、これが普通だと一気に消えていくのだ。こういう流行歌手だとかアーティストというのはその歌だとかルックスだとか世界観が好きという以外に、その時代の最先端であったりメインストリームに乗っている感じが好きという人たちによって支えられている部分が大きい。だから、その歌手なりアーティストが流行ではなくなったときに、その層の人たちというのは当然一気にいなくなってしまうわけで、それと同時に跡形もなく消えてしまうパターンというのも実に多い。モーニング娘。がすでに流行ではないことはとっくに明らかなわけだが、ではなぜ簡単には終わらないのか。やはりここには流行か流行でないかにかかわらず、ある層の人たちに訴えかけるしっかりとした世界観があるということなのだろう。オレは残念ながらモーニング娘。のコンサート会場に行ったことはないのだが、ミュージカルだとか舞台だとかラジオ収録といったいわゆる現場で感じる独特の感じ、また、ブログや掲示板やSNSなどで見られる世界観、こういったものは流行などという軽薄な次元を超えた何物かであることは間違いない。これはもはやスター・トレックだとかロカビリーだとか宝塚とか古典落語とかの濃いマニアだとかと同じ種類だと考えたほうがいいのかもしれない。
オレは国民的アイドル時代のモーニング娘。にはまったく興味がなかった、というかむしろあまり好きではなかった。有線放送で日本の流行歌が常に流れているような環境で仕事をしていたのだが、とにかくモーニング娘。以外にもプッチモニだとかタンポポだとかシャッフル・ユニットだとか後藤真希ソロだとか、ハロプロ関係が次から次へとしょっちゅうかかっていて、そもそも勝ち馬に乗る的な感覚が死ぬほど嫌いなオレにとっては鬱陶しくて仕方がなかった。また、80年代にくだらないとバカにされていたアイドル歌謡を真剣に聴いて論じるということを趣味にしていたオレにとって、当時のモーニング娘。の小さい子供から大人まで楽しめる感じというのがあまり好きではなかった。完全に世間的な人気が無くなった2007年に「笑顔YESヌード」のカッコよさと偶然知った道重さゆみの暗くて地味な小学生で机の引き出しでダンゴムシを飼っていたというエピソードがきっかけで本格的にモーニング娘。に興味を持ったという邪道中の邪道である。その後、メンバー同士の関係性だとか洋楽ヲタクにして同世代のつんく♂氏が創り出す独特の音楽やステージなどを楽しむようになったわけであり、オレが好きなモーニング娘。はけして流行であったり国民的であったためしは無い。それどころか、「何でいまさら」とかそんなことばかり言われている。オレにとってはいまさらどころか、いましかないというのに。オレにとって、モーニング娘。とは流行でも国民的でもなく、周囲から流行っていないとか何でいまさらとか落ち目だとか言われようとも、そんなこととは関係なしに絶対的に好きだと言い切れる存在であり、それに比類しうるものはいまのところどこにも無い。
さて、「ヤングタウン土曜日」では、他にディレクターの結婚式に高橋愛、道重さゆみも出席したという話題も出ていた。道重さゆみは披露宴に出席し、同じテーブルには小野真弓、押尾コータロー、2丁拳銃がいたらしい。この地味でマニアックな並びが好きだ。村上ショージは同じく披露宴に出席していたが別テーブル、明石家さんまは2次会からの参加で、道重さゆみとは会っていない。また、高橋愛もドラマの収録があったため、道重さゆみと入れ替わりのような形で2次会からの出席だったようだ。
モーニング娘。はニュー・アルバム「COVER YOU」で桜田淳子の「私の青い鳥」をカバーしているが、この曲はかつて、「オレたちひょうきん族」の中で明石家さんま扮するブラック・デビルの正体が見破られるきっかけになっていた。リスナーからのナイスな投稿により、かつてビートたけしと共に演じられていたこのやり取りが高橋愛の歌によって再現されていたのは嬉しかった。このギャグが流行った頃、高橋愛も道重さゆみももちろん生まれていない。
かつて、道重さゆみが「今夜もうさちゃんピース」で虫に関するエピソードをよく話していて、それはオレも大好きだったので、ここでもよく取り上げていた。最近も実家の自分の部屋に久しぶりに入ったらゴミ箱にウジがわいていたという素敵なエピソードを披露していた。番組ホームページではスタッフも「アイドルのラジオでウジという言葉を初めて聞きました」と書いていた。このグロさギリギリのリアリティーがたまらないわけである。オレが道重さゆみを好きな理由というのはいろいろあるのだが、運動が苦手で暗くて地味な田舎の小学生というリアリティーに負う部分もひじょうに大きいと思う。今週の「ヤングタウン土曜日」では、またしてもナイスなリスナーがこの道重さゆみの虫エピソードについての投稿をしていて、新たなエピソードを引き出すことに成功していた。オレがこの「ヤングタウン土曜日」を聴いている目的というのは単純に道重さゆみの声やトークをできるだけたくさん聴くということなのだが、やはり新たなエピソードが違った角度から聴き出せるというのは収穫が大きい。
子供の頃はカブトムシやクワガタを獲るのも好きだったらしく、夜中に樹木に蜜を塗って、朝に獲りに行ったりしていたらしい。また、砂糖をまいてそこを通る蟻の行列を黙って見ていたりもしていたようだ。いまは虫が苦手になってしまったということなのだが、その原因になったとも思われる衝撃のエピソードを話していた。捕まえたトンボが可愛かったので、頭をよしよしと撫でていると、そのトンボの頭が取れてしまったというのだ。これは幼少期のオレにも経験があるのだが、トンボの頭というのはすぐに取れる。そして、頭が取れても飛んでいる。
道重さゆみの実家の裏側には砂浜があるが、そこにもトンボがたくさん飛んでいた。常盤駅の切符入れの上にバッタが止まっているのも見たし、海へと続く緩い坂道の排水溝には小さなカニがたくさんいた。
大晦日といえば、いつかの「今夜もうさちゃんピース」で話していたように、道重さゆみの家族は朝3時ぐらいに起きて、車で市場までフグを買いに行っていたという。これはおそらく下関市の関門海峡近くにある唐戸市場のことだと思われる。ここは一般人にも開放している市場として有名で、外国人を含め、観光に訪れる人が多いらしい。これまたいつかの「今夜もうさちゃんピース」では、山口県のおすすめとして、ときわ公園と下関のフグを挙げていた。ちなみに、山口県では「ふぐ」は「不遇」などを連想させ、縁起がよくないからということで、「ふく」というふうに呼ぶらしい。これは「するめ」のことを「あたりめ」と呼ぶのと同じ理由だ。確かに、山口宇部空港の売店やおいでませ山口館でも「ふく」という表記しか見た覚えがない。
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