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2009年4月12日 (日)

スカイラ―キング/XTC

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iTunes

ポカポカ陽気の日が続いていると、つい来るべき夏に思いを馳せてしまう。いつも大したこともしないまま、あっという間に過ぎてしまうんだが、夏向けのカセット、いまならばプレイリストを作ったりしてテンションを上げてしまうものだ。

この時期になると毎年聴きたくなるアルバムにはアズテック・カメラ「ハイ・ランド、ハード・レイン」、ザ・スタイル・カウンシル「カフェ・ブリュ」、ヘアカット100「ペリカン・ウェスト」などがあるが、私にとって究極の夏のアルバムといえば、今回紹介するXTCの「スカイラ―キング」である。

XTCは1970年代後期にポスト・パンクの流れで出てきたバンドで、初期の作品はパンク的なエッジと卓越したポップ感覚が程よいバランスを保った感じであった。次第によりビートルズ的な英国ポップス寄りに変化していった。

私が洋楽を聴きはじめた1980年代前半においては、「ミュージックマガジン」や「ロッキングオン」といった批評性の高い音楽雑誌でいつも高評価されていたが、現在のようにインターネットなどはなく、レコード屋さんにも試聴機などほとんど無かった当時、実際の音を耳にすることは一切無かった。高校生までといえば、なけなしのお小遣いから吟味して月に1枚ぐらいLPレコードを買うのが精一杯であり、冒険などはとてもじゃないが出来なかった。そんな経緯で、何となく通好みの小難しいバンドと印象を抱いてしまったのだ。

高校卒業と同時に上京し、大学に入るとアルバイトも始めた。自分の自由になるお金が出来てくると、次第に食費を切り詰めてでも、1枚でも多くレコードやCDを買うという間違った生活がいよいよ本格的に始まる(実をいうとそれはこの時に始まったことではないのだが、それはまた別の話)。

発売されたばかりの「スカイラ―キング」は当時の音楽雑誌で、とにかく大絶賛の嵐だった。そこで、ろくに聴いたこともないくせに、小田急相模原のオウム堂というレコード屋さんで、これのCDを買った。

部屋に帰ってCDプレイヤーにディスクを入れた。ワンルームマンションのベッドに飛び込み、目を閉じた。スピーカーからは虫の鳴き声が聞こえ、それに続いて、どこか懐かしいメロディカのような音色。そして、先行シングルでもあった「グラス」へとなだれ込む。草むらの上に寝転んだ思い出について歌われたこの曲は、英国的な湿り気のある極上のメロディーとアレンジで、私を夢見心地へと誘ってくれた。

そこからはまさに魔法のような超絶ポップのめくるめく世界が展開する。アコースティックだったり室内楽風だったり、バラエティーにとんだ楽曲が並ぶが、全て素晴らしく、捨て曲など無い。以来、20年間以上にも渡って、私のオールタイム・フェイバリッツの1枚であり続けている。

実はこのアルバムは、アメリカのポップ職人的シンガーソングライター、トッド・ラングレンがXTCをプロデュースした最初で最後のアルバムである。この英米のポップスの大御所の夢のコラボレーションに、ポップスファンは大喜びし、実際に素晴らしい作品が誕生した。しかし、ポップ界の職人はまた、偏屈で意固地でもあったため、現場はまさに戦場であったらしい。XTCのフロントマン、アンディ・パートリッジはこのアルバムの仕上がりに納得していなく、当時はインタビューの度に不満を述べていた。しかし、それからしばらく経った後では、このアルバムのことを「夏の日々が1つのケーキになったような作品」だと述べている。私もこれに同感だ。今年もこのアルバムを聴いた日から夏が始まる。

GRASS - XTC

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コメント

はじめまして。おじゃましてます。松田聖子についてのエントリーに釣られてやってきましたが、その他のエントリーも大変興味深く読ませていただきました。

発売当時高校生だった俺にとってこのアルバムは青春そのものです。初夏になると必ず聴きたくなる一枚ですね。 Summers Cauldron から Grass へ繋がる所など特に素晴らしくて、この二曲は俺の中では一対になっています。別々には聴くことが出来ません。と言うか、大抵アルバム一枚通して聴いてしまいますがw 

UK版とUS版では曲順や収録曲が違ったりするんですよね。俺が持っているのはUS版なのでUK版収録の「Mermaid Smiled」が入っていません。日本版はどうだったんでしょうね。

このエントリーを読んでいたら無性に聴きたくなりました。今夜帰宅したら聴きます!

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