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2009年5月24日 (日)

Mステの真野恵里菜を見て思ったことなど。

何年か前の「ミュージックフェア」で当時のハロプロ・メンバーが80年代アイドルの曲をカバーするという企画があったのだが、その中で安倍なつみ、松浦亜弥、道重さゆみ、光井愛佳が松田聖子の「天国のキッス」を歌っていた。1983年4月27日に発売されたこの曲は、松田聖子の主演映画「プルメリアの伝説」の主題歌であり、「裸足の季節」や「夏の扉」と同様に、何事が起こるかもしれない夏への根拠のない期待を高め、気分を高揚させてくれるような楽曲であった。しかし、あの80年代前半のアイドル歌手の存在感、それは現在ほど青少年にとって現実としての性愛がリアルではなかった時代において、妄想と理想化による完璧な恋愛観を補完するようなものであり、それは現実には誰も着ていない純白のフリフリ衣装で不自然に大きな振り付けで表現されるようなものでなくてはならなかった。そして、性愛至上主義が蔓延する平成ニッポンにおいて、それは時代遅れで懐古趣味的なものであらざるをえない。一部、性愛をめぐる競争から落ちこぼれ、退行した者だけが享受する趣味、価値観とみなされている。いや、けしてそればかりではないのだが。かつてはクラスのほぼ全ての男子がお気に入りのアイドルを公言していたものだが、今日において、アイドルを好きでいることが世間一般からキモいと見なされ、自虐的にヲタなるアイデンティファイをせざるをえないのもそういう理由からであろう。

ちなみに私は、既婚者であるという現実があるがゆえ、リアル恋愛が日常に様々な障害を生む。しかし、より美しいものを追い求めるという感覚はけして消えることはなく、実に困った事態を幾度となく繰り返していた。ところが、20年以上ぶりにアイドルを応援するということになって以来、リアルに一般の女性に対する性愛的な意味での興味関心が一切無くなった。よく特定のアイドルにハマっている者に対し、盲目ヲタだとか批判している意見を見かけるが、そういう種類以外の楽しみ方を私は知らない。だったら何でもいいじゃないか、とか思ってしまうのだが、それは人それぞれだから楽しければいいのだろう。

さて、その「ミュージックフェア」における「天国のキッス」においては、ハロプロから選ばれたこの4人も当時の松田聖子を思わせる白い衣装で歌っていたのだが、意味もなく左右に揺れながら動く大げさな振り付け、これを道重さゆみがリアルにノリノリで再現していたのだ。1989年生まれのこの子がである。そして、歌っている時の表情のつくり方や仕草など、それは私の記憶の中にはあるのだがとうの昔に忘れ去られていたものであり、これぞ正しいアイドル歌謡のあり方とでもいうべきものなのだ。昔のロック・ファンがいまのバンドを聴いている若者の感性に対して感じる優位性、レッド・ツェッペリンやローリング・ストーンズと比べると全然違うんだよな、という感じ。いや、これは正しくないのだ。人は自分の感性が最も豊かだった頃の記憶を基準に物事を測ってしまう傾向があるから。客観的な優劣などというものはなく、要はその人がどれだけ切実にリアルに感じられるかなのだ。まあ、私にとってのアイドル歌謡とはそのようなものなのである。80年代前半、というかおニャン子クラブや小泉今日子が「なんてったってアイドル」で公開ネタばらしをする以前のアイドル歌謡の素晴らしさというのは、やはり楽曲や歌唱のみではなく、このようなテレビでのパフォーマンスを含めた総合芸術としてこそ評価されるべきなのだ。

「ミュージックフェア」の「天国のキッス」において、道重さゆみが私を感動させるに至ったのは、やはりこれが80年代アイドルの曲をカバーするという企画であったからだろう。お笑いセンスや単語のチョイスにも見られる道重さゆみの80年代テイストは才能であるとして、この舞台装置がなければ、このリアリティーは不可能であったと思われる。では、たとえばこういった80年代前半的な純潔路線の爽やかなアイドル歌謡を新曲として書き下ろし、当時を思わせる衣装や振り付けで歌わせたとしたらどうだろう。やはり、時代が違う。そこに必然性が無いという無理やり感が、リアリティーを薄めてしまう。これを乗り越えるには相当の才能と質の高い舞台装置が必要だと思われる。

さて、真野恵里菜である。

去年の「今夜もうさちゃんピース」で「ラッキーオーラ」を聴いた時はすぐに気に入って、iTMSで購入し、ついでにその前の曲の「マノピアノ」も買った。80年代前半のいわゆる清純アイドルの世界観を狙ってきていて、本人のルックス、歌唱力などもかなりこのイメージを踏襲する上で質が高かったので、これはぜひ乗っかってみるのも楽しいかも、と思わせるに十分だった。ブログもしばらくは読んでいた。メジャー・デビュー曲の「♪源氏物語に出てくるみたいです」という歌い出しの歌詞は正しいが、ちょっと狙いすぎ感が私には強めだったことと、事務所推しが本格化したことから、次第に興味は薄れていった。この2週間の「今夜もうさちゃんピース」ゲスト出演も、正しいと思いながら聴いていたが、それほど本人に強い興味を抱かせるには至らなかったので、「ミュージックステーション」だって見るつもりはなかった。しかし、確かな筋からあまりにもすごかったという声が強いもので。

これは衝撃的だった。本当に心が動いた。ピアノ弾くイントロから唐突に立ち上がっての振り付け、これは河合その子「涙の茉莉花LOVE」の既視感もあるのだが、その後の振り付けがまさしく、「天国のキッス」などで見られたあの左右に大きく揺れながら歌う振り付け。これは現実にいまの時代に起こっていることなのだろうか。その後は感動しすぎてあまり覚えてはいないのだが、夏への根拠のない期待を煽るような世界観、「ナツ、ナツ、ナツ、ジリ、ジリ、ジリ、来い、来い、来い」というリフレイン、不安定でたまらない歌唱、まさに私が考える究極的に正しいアイドル歌謡がリアルタイムのものとして目の前で具現化しているのだ。この事態にどう対処すればよいものだろうか。(間奏がバングルス「マニック・マンデー」とかはどうでもいいが)

真野恵里菜が「ミュージックステーション」に出演している時間はいかんともしがたい事情でテレビが見られず、翌朝になってから見ることが出来た。前日深夜にモーニング娘。が出演した「MUSIC FIGHTER音楽戦士」はリアルタイムでテレビで見た。今回はトークも無かったが、衣装や振り付けも好感が持てるものだった。ここ最近はメインで聴いている洋楽にしてもダウンロード購入ばかりでCDを買う機会がめっきり無くなってしまったのだが、「しょうがない夢追い人」はオリコン1位祭りに参加する為、Amazon.comで購入した。が、封を開けていない。Dohh UP!でPVを何度も見たりラジオで聴いたりしているうちに、もう十分だという感じがした。テレビの歌番組出演も、道重さゆみ単体のバラエティー出演を追っかけるのが精いっぱいで、見れていなかった。モーニング娘。はダンスや歌唱といったパフォーマンスの水準を上げていくアーティスト路線、かつこのところは歌詞も同年代の女性にも好感が持てるような内容をあえて選んでいるような感じがする。やんごとなき事情で土日祝のコンサートには行けない私だが、昨年の「シンデレラ the ミュージカル」最後の持ち歌パフォーマンスを生で観て、そのパフォーマンスの水準の高さに驚いた。こういうことをやっているグループは他にはいないので、この路線を究めていくのは、これでいいのだろう。今回の「しょうがない夢追い人」も十分にカッコよく、楽しかった。しかし、私がアイドル歌謡に求める訳の分からない高揚感やときめきというのとは別の種類のものだ。好きなものや楽しみはたくさんあった方がいいので、これはこれでいいのだろう。

ちなみに、道重さゆみと真野恵里菜は私の中で受容する部分がまったく異なっている為、いわゆる推し替えということはけしてありません。信じてください。本当です。

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コメント

こんにちぱ。能登ヲタです。

ミュージックステーションはすごかったですね。
かなりのインパクトでした。
番組冒頭からすごく緊張していたようで、
その緊張がブラウン管ごしにも伝わってきて、
自分もドキドキしながら見ていました(笑)

マノエリは、自分の立場、役割、求められているものを
きっちり理解している賢いアイドルだと思います。
あまりにも事務所の推しっぷりがすごくて
一時期は、ちょっと辟易していたのですが、
推される理由が分かってきました。
最近、自分は心を掴まれています。
頑張って欲しいです。
元々、音ガタ繋がりですし、応援していこうと思います。

自分も推し替えということはけしてありませんが。


娘。、オリコン1位おめでたいですね。
ドキドキしながらスレの祭の様子を見てました。

長々と失礼しました(__)

ちえ♂さんこんばんは!
コメントが大変遅くなりましてすみません。
いやーあのMステの真野ちゃんは衝撃的でした。
イメージや曲の感じもそうなのですが私にはあの表層的な感じが何とも80年代アイドル的で嬉しい心地でございます。
私にとっての真野ちゃんは内面なんて求めないという意味においてザ・アイドルな訳ですが、道重さんに対してはそれとは全く異なり、意味とか理由を求めている訳ですね。そういった意味で全くの別枠です。というか思い入れの濃度そのものが1億:1ぐらいな訳で。
ちえ♂さんの推しの能登さんですが、依然としてよく知らないままでいますが、なんとなく文科系アイドルという噂ばかりは耳にします。私は体育会系なるものが象徴するすべてに果てしない憎悪を抱いている為、これは実に好ましいことだと思える訳です。

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