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2011年7月25日 (月)

女に 幸あれ。

トゥーマッチ感溢れるサウンドが、真夏に食べる激辛カレーのごとき快感をもたらすモーニング娘。の「女に 幸あれ」は、2007年7月25日に発売された。この曲についての思い出を書く。

この年の2月、YouTubeで見た「笑顔YESヌード」があまりにもカッコよく、初めてモーニング娘。のCDを買った。それから、インターネット掲示板で見たラジオでの発言をきっかけとして、メンバーの道重さゆみに強く魅かれていった。ラジオを聴きはじめたり、過去の映像を探したり、ファンのブログを読んだり、20年ぶりぐらいにアイドルの写真集を買ったりした。

それから「ヤングタウン土曜日」のアシスタントになったり、初のソロDVDが出たりした。モーニング娘。のコンサートやイベントは、土曜日曜祝日に開催される場合が多く、私は仕事の都合でどうしても観に行くことができずにいた。ふと、大阪でラジオの公開放送に出演すると言っていたことを思い出し、確認してみると、それは平日で、私の仕事に行かなくてもよい日とも重なっていた。これは行くしかないだろう。そう決めてから、もうそのことしか考えられないようになっていた。

しかし、その4日前になり、急遽、その日も仕事へ行かなければならないような流れになった。これには落胆した。しかし、まあ仕方がない。いかんともしがたい気分でハロー!プロジェクトのホームページを見ていると、翌日の夜に、代々木のスタジオにてFM局の公開生放送に出演するということが書かれてあった。

仕事が終わってから、すぐに代々木に駈けつけた。マスコミの影響で、アイドルの現場に来る人たちというのは、かなり特殊な風体なのではないかという先入観があったのだが、意外にも普通の若者も多かった。しかし、頭部に2本のしゃもじを装着しているような人もいた。

大きな会場の椅子に座って見るようなものを想定していたのだが、じつは道路に面したガラス張りのスタジオの前を、数名ずつのグループに分かれ、順番に数十秒ぐらいずつ見るというものであった。ラジオの音声も聞こえない。それでも、本物の道重さゆみを、それまで見たことがなかったので、とても楽しみにしていた。

列に並び、やっと私たちのグループの順番が来た。このようなものに参加するのが初めてな私は、勝手がさっぱり分からず、メンバーの顔がよく見える好位置は、すぐに奪われた。とりあえず空いている場所にすべり込んだのだが、そこはガラスを隔てて、道重さゆみとわずか数十センチという位置であった。しかし、斜め後ろからであり、顔はまったく見えない。黒く長い髪、透き通るような白い肌、長いまつ毛を確認することができ、これがいつもラジオで聴いている道重さゆみの本物なのだと、その寸止め感の中で、激しく感動した。

結局、それから2日後も仕事にはどうしても嫌ならば行かなくてもいいというぐらいにはなり、大阪にはどうしても行きたかったので、行くことにした。早朝に新幹線に乗った。大阪に行くのは生まれて初めてのことであり、こんな機会でもなければ一生行っていなかったかもしれない。以後、大阪には何度か行き、食べ物やお笑いや街などがとても好きになったのだが、それらもこの機会がなければ、一生知らずに終わったのかもしれない。

会場は大阪城公園で開催されていたオーサカキングというイベントの中の、OKステーションというスタジオである。携帯電話の乗り換え検索で出た通りに電車を乗り継ぎ、スムーズに現地に着いた。列には、道重さゆみの公式グッズと思われるピンク色のTシャツを着た若者などもいた。とりあえず自動販売機でミネラルウォーターのペットボトルを買い、列に並んだ。会場と同時にOKステーションを探し、入るとすでに結構な人が集まっていた。場所だけ確認して、食事でもしてから戻ろうと考えていたのだが、オールスタンディングの野外会場であるため、一旦離れると、さらに後の方になってしまう。それは勿体ないと思い、公開録音開始までは2時間あったが、そこで待つことにした。

局アナや噺家のような人が、前の番組をやっていた。高校生か大学生ぐらいと思われる男子が、ヲタ芸の真似のようなことを陽気にやっている一方、20歳台後半から30歳台ぐらいで、一人でブツブツ言っている男性などもいた。出演者にスケッチブックに書いてメッセージを伝えるという文化も、この時に初めて知った。おそらくハロプロとかには一切興味がないであろうパーソナリティーの方々に、うさちゃんピースを伝授したりしていた。

目の前に小さな女の子がいて、モーニング娘。の団扇を持って、一人で立っていたが、途中で暑さのせいか、倒れてしまうということがあった。太陽はギラギラと照りつけて、意識が朦朧としてきたが、あと少し待てば、今度こそ真正面から、本物の道重さゆみを見ることができる。

そして、公開録音がはじまった。ゲストには青空という漫才コンビの岡友美という芸人が来ていたが、この人のことはそれまで全く知らなかった。かなりのアイドルヲタクだということだったが、その後、大阪のお笑いが好きになり、過去の映像などを見る中で、この青空というコンビもかなり好きになった。

この日は、モーニング娘。から道重さゆみと光井愛佳が出演することになっていた。パーソナリティーが紹介すると、ブースに二人が登場した。道重さゆみはピンク色の可愛い服を着て、髪は光井愛佳とお揃いにしていた。メイクは、テレビや雑誌で見るとりも、ややくっきりしているような印象を受けた。しゃべり出すと、それは確かにいつものラジオで聴いている道重さゆみであり、適度に毒舌も放りこんでくる。ブース越しに見るその姿はまるでホログラムのようであり、とても現実感がない。少しでも脳裏に焼きつけようと思い、見た。スピーカーから「女に 幸あれ」が流れ、炎天下に約三時間立っていたことによる疲れとも相まって、ある種のトランス状態のようなものをもたらす。そして、道重さゆみのことを、可愛いなと思いながら、ただボーッと見ていた。そして、収録は終わった。

今、目の前で起こったことが何であったかもよく分からないまま、放心状態で会場を歩いた。携帯電話で情報を集めると、次はメインステージから生中継されている「ちちんぷいぷい」なる番組の「今日のポン!」なるコーナーに出演するのだという。それで、メインステージへと移動した。

一部、見るからにモーニング娘。目当てと思われる人たちもいたが、ほとんどは一般の家族連れだったり中高生のグループ風だったりした。コーナー開始が近づくにつれ、モーニング娘。目当てっぽい人たちが増えてきた。地元の女子中学生グループと思われる人たちは、後を振り返り、知らないうちにヲタクっぽい人たちばかりになっていることに気づき、素で気持ち悪がっていた。MCは松竹芸能の漫才コンビ、なすなかにしであり、これについてはカッコいいと言っていた。

コーナーがはじまり、道重さゆみと光井愛佳がステージに上がって行った。立ち姿の全身を見るのは初めてだったが、白い脚がすらっと長く、とてもスタイルがよいと思った。というか、その美しさにただ圧倒された。目が離せないとはまさにこのことである。とにかく見ていられるだけ見ていたと思った。その後、ステージから降りてきて、ポン菓子を作るというのが、コーナーのコンセプトである。光井愛佳が作っていた。そして、このコーナーも終わり、道重さゆみと光井愛佳は、バイバーイと手を振って、見えなくなってしまった。

それから電車に乗った。夕方ぐらいに新幹線に乗って帰ればいいと思っていたので、まだ時間は十分にある。せっかくなので大阪観光でもしていこうと思った。しかし、前もって調べていたことは何もないし、そもそも大阪の地理についてはさっぱり分からない。大阪駅で降りて、付近をブラブラしながら、通天閣やグリコの看板はどの辺にあるのだろうと思っていた。あるはずがない。駅の近くに普通にたこ焼屋さんがあって、サラリーマンが立ち食いしていたりするのは、新鮮だった。

しかし、心に積もった悲しみが消えない。これはいったい何なのだろう。泣き出す直前の、鼻の奥がツーンとするような感じがずっと続いていた。面影を求め、ふたたび会場に戻ったが、もちろんもうそこに姿は無かった。ケンドーコバヤシがプロデュースしたケンコBARで、おつかレイナという名前のカクテルを買って、飲んだ。

メインステージに立つ道重さゆみを見ている間ずっと、この時間がずっと続いてほしいと思った。しかし、それは終わった。当たり前のことである。しかし、ここで気がついたのだが、私がこのように、その瞬間がずっと続いてほしいなどと最後に思えたのは、いつのことだったろうか。

道重さゆみが目の前から消えた瞬間、それは終わった。終わってから気がついたのだが、その時間は完璧であった。しかし、それはもうすでになく、残された私と私を取り巻く何もかもは、ついさっき感じた完璧さとはまったく無縁のものであった。それがとても悲しかった。

もう忘れていたはずなのに。そんなものは遠い昔に見た幻であり、現実にはありえないものである。だから不承不承というスタイルを飼い馴らしながら、ただ生きることを続けていくのだ。

しかし、夢は幻ではなかった。それに似たものを、現実に見てしまったから。ならば、そのようなものを追い求めていかなければいけない。もうそうでなければ、生きているとは言えない。それに気がついてしまった。気づかされてしまった。

東京に帰り、その日の夜に、「卒業-さゆみんに向かって」というブログを立ち上げた。副題は「モーニング娘。道重さゆみをめぐる自分探し系ブログ」であった。

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